茨城県ひたちなか市にある酒列磯前神社(さかつらいそさきじんじゃ)は、斉衡3年(856年)の創建、元禄15年(1702年)に現在地に遷宮された由緒ある神社です。
住宅街を抜けた先、潮の香りを含んだ風が吹き抜ける場所にあります。
300メートルにわたって続く木々の緑のアーチ、金運のご利益があるとされる亀の石像、そして拝殿を飾る江戸初期の伝説的彫刻職人による木彫り作品。
「3つの魅力」をたずねて、境内をゆっくり歩いてみませんか。
緑の参道|天然記念物「樹叢(じゅそう)」がつくる静けさ

鳥居をくぐると、空気がひんやりと変わります。そこに広がるのは、樹齢300年を超えるヤブツバキやタブノキの古木が並ぶ緑の参道。
この一帯は、2005年に茨城県の天然記念物に指定されました。海洋による温暖な気候によって生育が促された、暖帯性の樹叢のひとつと位置づけられています。
およそ300メートルにわたって木々が枝を伸ばし、陽射しを受けて、木漏れ日が揺れるように地面に映っています。森林浴をしているような心地よさに包まれます。

足を進めるほどに、外の世界のざわめきが少しずつ遠のいていきます。
幸運の亀さん|なでられた石像に込められた願い
茅の輪(ちのわ)をくぐった先に、亀の石像があります。

「幸運の亀さん」と呼ばれる石像は、宝くじの高額当選者が感謝の気持ちを込めて奉納したものだということです。

甲羅や顔の部分は、何度もなでられて黒光りしています。その艶から、多くの人が願いを託してきたことが伝わってきます。

「なでると金運が上がる」と噂が広まり、いまではこの神社の象徴のひとつにもなっています。手を添えるだけで、気持ちが前を向いていく気がします。
拝殿の向拝|「リスとぶどう」の彫刻に見る職人の技
拝殿の正面に立ち、ふと見上げると、「リスとぶどう」の木彫が目に入ります。日光東照宮の「眠り猫」で知られる左甚五郎(ひだりじんごろう)の作と伝わる彫刻作品です。

よく見ると、左右にリスの姿がふたつ。ぶどうの実の丸みやリスの毛並みまで丁寧に彫り込まれ、木の質感を生かした、立体感のある彫刻に仕上がっています。
権禰宜(ごんねぎ)の小林さんのお話では、「リスはたくさん子どもを産み、ぶどうもたくさん実をつけることから、多産や豊穣の象徴とされているそうです。さらに、ぶどうは『武道』に通じるともいわれています」とのことです。
この彫刻は、毎年10月に授与される限定の御朱印にも描かれており、参拝者からの人気も高いようです。

余白のある時間を過ごしに
緑のアーチ、金運の石像、歴史ある彫刻。それぞれ印象深い見どころです。境内を自分のペースで歩きながら、静かな時間を過ごしたいものです。
関連記事: 海の見える鳥居と紫陽花が美しい酒列磯前神社|話題のアクリルお守りと季節の御朱印【ひたちなか市】
アクセス・参拝情報
酒列磯前神社
所在地:茨城県ひたちなか市磯崎町4607番地
ご祈願受付:9:00〜15:00(授与所は8:00〜16:00)
交通:ひたちなか海浜鉄道「磯崎駅」から徒歩約10分
駐車場:あり
お問い合わせ:酒列磯前神社 社務所 TEL 029-265-8220(年中無休 8:00〜16:00)
撮影日:令和7年6月23日、25日
